英FCA、ESG評価の透明性強化へ向けた新提案を公表

12月1日、英国金融行動監視機構(FCA)は、ESG(環境・社会・ガバナンス)評価の透明性・信頼性・比較可能性を高めるための提案を公表した。政府がESG評価をFCAの規制対象に組み入れる方針を示し、回答者の95%が支持したことを受けた措置である。

ESG評価は投資判断やリスク管理、規制報告に広く利用され、ESGデータ関連の世界支出は2025年に22億ドルへ達すると見込まれている。FCAは、今回の提案が今後10年間で約5億ポンドの純便益をもたらすと試算している。

FCAの調査では、ESG評価利用者の約半数が評価方法の構築過程(55%)や透明性(48%)に懸念を抱いていることが示された。提案はこうした問題に対応するため、以下の4分野に焦点を当てる。

  1. 透明性の向上:利用者と被評価企業双方にとって比較を容易にする仕組みの整備。
  2. ガバナンス・システム・管理体制の強化:明確な意思決定、監督、品質保証の確保。
  3. 利益相反の特定と管理
  4. ステークホルダー関与と苦情処理に関する期待値の明確化

また、FCAの既存ルールを新たに規制対象となる企業にどのように適用するかも盛り込まれ、企業規模やリスクに応じた比例的な設計となっている。FCAは、これらの措置が英国のサステナブルファイナンス拠点としての地位をさらに強化し、革新と成長を支えると位置付ける。

持続可能金融ディレクターのサシャ・サダン氏は、「提案はESG評価への信頼を高め、サステナブルファイナンスの透明性向上に寄与する」と述べた。

提案は自主業界コードおよびIOSCO勧告を基礎としており、国際的整合性と競争力の確保を目的とする。意見募集は2026年3月31日まで受け付けられ、最終規則は2026年第4四半期に公表予定で、新制度は2028年6月に施行される見通しである。FCAはESG評価プロバイダーとしての認可取得を希望する企業への支援も行う方針だ。

(原文)FCA sets out proposals to make ESG ratings transparent, reliable and comparable
(日本語参考訳)FCAはESG格付けを透明で信頼性が高く比較可能なものにするための提案を発表

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