LanzaTechとアルセロール・ミタル、製鉄オフガス由来エタノールのサンプルを発表

6月14日、米カーボンリサイクルLanzaTechと製鉄世界大手ルクセンブルクのアルセロール・ミタルは、ベルギーのゲントにあるアルセロール・ミタルの商業規模炭素回収・利用(CCU)施設「Steelanol」で、製鉄オフガス由来のエタノール製品「Carbalyst」の試験生産に成功したと発表した。

2億ユーロ(約300億円)を投じるSteelanolの試みは、欧州鉄鋼業界初のものであり、LanzaTechが開発した微生物発酵によるエタノール生成技術を導入している。2022年12月に落成し、その後低温試運転が行われた。現在、生物触媒が施設に導入され(接種と呼ばれるプロセス)、増殖が始まり、新しい分子の生産が確認されている。2023年内にフル稼働の予定である。

2023年5月、製鉄所の高炉からの最初のガスがランザテックの生体触媒に導入された。植菌に成功した後、エタノールを含む初期サンプルが生産され、ガス中の炭素が新しい化学製品に変換されていることが実証された。バイオリアクターからの商業規模のエタノール生産は、今後数ヶ月のうちに開始される予定。

生産したエタノールは、SAF、包装材料、アパレル、化粧品の香料など、さまざまな製品製造のための構成要素として使用することができる。両社は、Carbalystのブランド名で共同販売する。

Steelanolは、ベルギーの現在の総需要の約半分に相当する8,000万リットルの高度エタノールを年間生産する能力を持つ。ゲント工場からのCO2排出量を年間12万5,000トン削減することで、10年後までにGHG排出量を55%削減するというEUの2030年気候目標計画を推進することが期待されている。プロジェクト・パートナーは、プライメタルズ・テクノロジーズとE4テックで、欧州気候・インフラ・環境執行機関であるCINEAの支援を受けている。

同施設から出荷された製品サンプルは、炭素の循環的利用、そして使い捨て炭素の終焉に向けた重要な一歩を示すもの。本成功によって、ガスは廃棄物とはみなされず、原材料とみなされるようになる。さらに、炭素のリサイクルにより、エタノール生産プロセスは、従来のエタノール生産方法のように、食用作物と競合することもない。

【参照ページ】
(原文)World’s leading steel company, ArcelorMittal and LanzaTech announce first ethanol samples from commercial flagship carbon capture and utilisation facility in Ghent, Belgium
(日本語訳)LanzaTechとアルセロール・ミタル、製鉄オフガス由来エタノールのサンプルを発表

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