化学・素材大手のBASF社は、CO2排出量の少ない生産技術、循環型経済、再生可能エネルギーに関するプロジェクトの実施と加速を目的とした新ユニット「Net Zero Accelerator」の立ち上げを発表した。BASF社は、この新ユニットの設立により気候変動に関する目標の達成に向けた活動の加速を目指す。
今年初め、BASF社は2050年までにスコープ1および2の排出量をネット・ゼロにするという目標や、
2030年までに排出量を25%削減すること、目標達成のために2025年までに最大10億ユーロを投資する計画など、一連の気候目標を発表した。また化学産業の脱炭素化に向けた技術開発を目的とした一連のパートナーシップやプロジェクトも発表した。その中には、化学企業のSABICと世界的な産業ガス・エンジニアリング企業であるリンデ社との電気加熱式蒸気クラッカー炉のためのソリューションの開発と実証に関する合意や、化学生産における温室効果ガスの排出量を削減するために設計された新技術の商業的導入を促進することを目的としたシーメンス・エナジー社との戦略的パートナーシップが含まれている。
Net Zero Acceleratorは、Lars Kissau博士が社長を務める。ドイツのルートヴィヒスハーフェンを拠点とするこのプロジェクト組織は、2022年1月1日に開始する予定だ。
本ユニットが管理する進行中のプロジェクトには、技術的、経済的、あるいは生態学的な理由で機械的にリサイクルされないプラスチック廃棄物に焦点を当てるChemCyclingなどのBASFの循環経済活動や、メタン熱分解などのCO2フリー技術が含まれている。また再生可能エネルギーも活動分野のひとつであり、BASFは今年初めにヴァッテンフォール社と合意し、世界最大の洋上風力発電所の49.5%の株式を取得した。また、最近発表されたØrsted社のBorkum Riffgrund 3洋上風力発電所から186MWの容量を購入する25年間の電力供給契約もそのひとつだ。
【参照ページ】
(原文)BASF is accelerating the implementation of its CO2 reduction targets
(日本語訳)化学大手BASF、低炭素技術やプロジェクトを加速するための専門部署を設立