EU、恒久的炭素除去の国際基準を策定

2月3日、欧州委員会(European Commission)は、大気中の二酸化炭素(CO₂)を恒久的に除去する取り組みを認証するための、世界初となる自主的な共通基準を採択した。炭素除去技術の信頼性向上と投資促進を図り、2050年の気候中立達成を後押しする狙いがある。

今回採択されたのは、「EU炭素除去認証枠組(CRCF)」規則に基づく初の認証手法で、恒久的な炭素除去活動を対象とする。明確な評価基準を設けることで、環境配慮を装う「グリーンウォッシング」の防止や、革新的技術への投資拡大につなげる。

新たな基準は、技術的成熟度や気候目標への貢献度を踏まえ、次の3分野を対象としている。大気直接回収・貯留(DACCS)、バイオ由来排出物の回収・貯留(BioCCS)、バイオ炭による炭素除去(BCR)である。

EUの気候政策担当委員は、「明確で信頼性の高い基準を設けることで、欧州が炭素除去分野を主導し、世界的な模範を示す」と強調した。

認証制度と運営ルールの整備により、これらの技術を活用した事業者は、今後EUの公式認証を申請できるようになる。早ければ今後数か月以内に、初の認証案件が誕生する見通しだ。

今回の制度では、「1トンの炭素除去」をどのように定義するかや、長期的な貯留の確保、漏出リスクや責任の所在などを明文化した。これにより、企業や投資家にとって判断基準が明確になり、成長途上にある炭素除去市場の信頼性向上が期待されている。

制度は既存のEU気候関連法規を基盤としており、環境保全を確保しつつ、事務負担を抑える設計となっている。

今回の規則案は、欧州議会とEU理事会による審査を経て、異議がなければ4月にも官報に掲載され、20日後に発効する見込みだ。

欧州委員会は今後、農業や森林管理を対象とした「炭素農業」分野や、木材などを用いた建築物への炭素貯留に関する新たな認証手法も導入する方針で、2026年中の採択を目指している。

さらに、炭素除去クレジットの市場育成を目的に、購入企業を集めた「EUバイヤーズクラブ」も設立する。公的資金と民間投資を組み合わせ、関連技術の実用化と普及を加速させる考えだ。

CRCF規則は、EU全域で初めて炭素除去や炭素農業を対象とした統一的な認証制度を整備するものである。定量評価や持続性に関する厳格な基準を設けることで、事業の透明性を高め、長期的な投資を呼び込む狙いがある。

EUは今回の制度整備を通じて、炭素除去分野における国際的な主導権を確立し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みをさらに強化していく方針だ。

(原文)EU sets world’s first voluntary standard for permanent carbon removals
(日本語参考訳)EU、恒久的な炭素除去に関する世界初の自主基準を設定

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