英欧、洋上風力で歴史的合意北海で100GWの共同開発へ

1月26日、英国と欧州諸国はクリーンエネルギー分野での協力を強化する「ハンブルク宣言」に署名し、北海における洋上風力発電の大規模な共同開発を進めることで合意した。英国のエド・ミリバンド・エネルギー安全保障・ネットゼロ相が、独ハンブルクで開かれた北海サミットで欧州首脳らと調印した。
宣言では、英国と欧州連合(EU)の同盟国が連携し、北海の共有海域で合計100ギガワット(GW)の洋上風力発電プロジェクトを共同で整備する方針を明記した。ドイツ、ノルウェー、フランス、デンマークなどが参加し、家庭や企業にクリーン電力を供給する。
世界的な地政学リスクが高まる中、英欧は化石燃料依存からの脱却を通じて、エネルギー主権と安全保障を確保する姿勢を鮮明にした。英国では先に、過去最大規模となる洋上風力の入札が実施され、約7000人の雇用創出と220億ポンドの民間投資を呼び込んだ。
北海沿岸国は2023年、ロシアによるウクライナ侵攻とエネルギー供給の不安定化を受け、2050年までに北海で300GWの洋上風力を整備する目標を掲げていた。今回の合意により、そのうち100GWを複数国が共同で建設・運用するプロジェクトとして実現することが初めて正式に確認された。
共同事業には、複数国を直接送電網で結ぶ「洋上風力ハイブリッド資産」も含まれる。海上の風力発電所と国際連系線を組み合わせることで、必要な地域に電力を融通しやすくする狙いだ。
ミリバンド氏は「クリーンエネルギーは、英国が化石燃料価格の乱高下から脱却し、エネルギーの自立と豊かさを得る唯一の道だ」と述べ、北海を「世界最大のクリーンエネルギー貯蔵庫」へ転換する意義を強調した。
サミットには、ドイツ、フランス、ベルギー、アイスランド、アイルランド、オランダ、ルクセンブルク、デンマーク、ノルウェーの首脳や閣僚が参加。英国は、ドイツやベルギー、デンマーク、オランダとともに、国境を越えた洋上送電網の整備や費用分担、制度設計を進める方針でも一致した。
エネルギー業界からも期待の声が相次いだ。ナショナル・グリッド・ベンチャーズのベン・ウィルソン社長は、北海における送電連系プロジェクトが「資源利用の効率化とコスト削減、沿岸地域への影響最小化につながる」と指摘。
エナジーUKのダラ・ヴィヤス最高経営責任者は、「供給網の標準化と共同インフラ整備は、家庭や企業のエネルギーコストを下げ、持続可能な成長と雇用を生む」と述べた。
また、リニューアブルUKのジェーン・クーパー副最高経営責任者は「今回の宣言は、洋上風力を欧州電力システムの中核に据える歴史的な一歩だ」と評価した。
北海をめぐる協力強化は、再生可能エネルギーの拡大だけでなく、英欧の安全保障と経済成長を同時に支える戦略的取り組みとして位置付けられている。
(原文)UK and Europe sign historic pact to drive clean energy future
(日本語参考訳)英国と欧州がクリーンエネルギーの未来を推進する歴史的な協定に署名

