GRI、企業のネットゼロ目標達成に向けたチェックリストを公開、国連基準と接続

11月10日、GRIは国連「Integrity Matters」報告書とGRIスタンダードを対応させた新ツール「Integrity Matters チェックリスト」を公表した。これは、企業や投資家など非国家主体が、科学的根拠に基づくネットゼロ移行計画と排出削減の取り組みを一貫して報告するための枠組みである。
チェックリストは、COP27で発表された国連ハイレベル専門家グループ(HLEG)の報告書「Integrity Matters」の内容を反映し、2025年版へ更新されたもので、COP30を控えたC40世界市長サミット(リオデジャネイロ)で公表された。なお、GRIスタンダード(「GRI 102: Climate Change 2025」)では、HLEGの全勧告に対応している。
GRIのロビン・ホーデスCEOは、企業が「公約と行動の整合性を示すために不可欠なデータを提供するツールだ」と述べ、国連気候変動担当のセルウィン・ハート補佐官は、同チェックリストが「パリ協定と整合した企業行動を実務的に支援する」と強調し、ジャスト・トランジションへの配慮も評価した。
HLEG議長のキャサリン・マッケナは、各地域でネットゼロ目標が増加する一方、その整合性が依然課題であると指摘し、チェックリストが移行計画の透明性向上に役立つと述べた。また、タスクフォース共同議長ヘレナ・ビニェス・フィエスタスは、「ダブルマテリアリティ」に基づく政策・開示・投資戦略の統合の重要性を示した。
さらに、国連グローバル・コンパクトのサンダ・オジアムボ事務局長は、チェックリストが民間部門の信頼性、透明性、説明責任を高めると評価した。
GRI 102は2025年6月にGRI 103(エネルギー基準)と同時に公開され、科学と国際気候目標に基づく排出削減と気候影響の開示を求める。HLEGは国連事務総長により設置され、非国家主体のネットゼロ誓約に関する明確な基準の策定を担う。最新報告書「Integrity Matters: Winning the Future」は、今後10年の気候行動を加速させる6つの行動を提示している。
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