ISSBがTNFDの枠組みを活用へ 世界で730超の組織が採用拡大

11月7日、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、TNFDの開示勧告や指標、ガイダンス、LEAPアプローチを参照しつつ、自然関連のリスクと機会に関する基準策定作業に着手する決定を歓迎した。ISSBは、生物多様性・生態系・生態系サービス(BEES)に関する調査結果を踏まえ、投資家が必要とする情報に対応する新たな開示要件の導入を示している。
この発表は、TNFDがCOP30を前にサンパウロで、TNFD勧告の自主的な市場採用が733組織に達し、上場企業の時価総額が9兆米ドル超、運用資産残高(AUM)が22兆米ドルを超えたと公表したタイミングで行われた。
TNFDは、ISSBが2026年10月の生物多様性条約(CBD)COP17に向けて公開草案の準備を目指す方針を歓迎している。また、TNFDの枠組みがIFRS S1基準を基盤とし、自然関連課題を既に包含しているとISSBが確認したことで、企業がIFRS S1に沿った開示準備を進めやすくなる点にも言及した。
ISSB基準が約40の法域で採用または参照される中、TNFDは2026年Q3までに進行中の技術作業を完了し、新規ガイド策定を一時停止してISSBの作業支援に集中する計画を示した。一方、市場向けには自然関連課題への理解促進と能力強化を進め、自然データバリューチェーン改善に関する勧告の普及を続ける。
また、TNFDは、56か国・地域、SASB SICS分類の64セクターにわたる新たな採用企業を発表した。上場企業の時価総額は2024年11月比で44%増の9.4兆米ドル、TNFDに沿う金融機関は179社、AUMは22.4兆米ドルで、COP16から27%増となった。採用企業にはサノフィ、日鉄、タタ・スチール、ピレリ、Burberry、CAIXA、AMAGGI、Cascadesなど多様な業種が含まれる。

