
9月3日、東京都は官民連携による新たな水素推進プロジェクト「TOKYO H2」を発表した。燃料電池(FC)商用モビリティの導入拡大を軸に、水素の社会実装を加速させる取組であり、日本初となる燃料電池タクシーの大量導入を皮切りに進められる。
都は2035年度までに約1万台の燃料電池商用モビリティ普及を目標に掲げる。今回のプロジェクトでは、輸送・物流分野への導入促進とともに、エネルギー安定供給や脱炭素化の切り札として水素の利活用を拡大する。プロジェクトのシンボルロゴ「TOKYO H2」には、Hydrogen、Human、Hope、Harmony、Heroの5つの意味を込め、未来へのつながりを表現している。
発表会では小池百合子東京都知事が「水素を使うアクションを加速させ、世界に誇る水素社会・東京を実現する」と強調。トヨタ自動車社長で水素バリューチェーン推進協議会会長の佐藤恒治氏は「産業を超えた連携により、水素利用モデルを構築していく」と述べた。さらに東京ハイヤー・タクシー協会会長の川鍋一朗氏は「水素タクシー導入は公共交通の進化の第一歩だ」と語り、持続可能な都市交通の実現を誓った。
当日はFCタクシー出発式や水素体験イベントも行われ、水素自転車や燃料電池フォークリフト展示、さらに水素グリルやキッチンカーによる調理試食や水素焙煎コーヒーの試飲など、多彩な催しで来場者に水素社会の姿を体感させた。