
8月12日、グローバルなデータ・テクノロジー企業であるインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)は世界中の500万社を超える非上場企業を対象に、物理的リスクと移行リスクに関する気候データと分析サービスの提供を開始したと発表した。米国の調査会社ダン&ブラッドストリート(D&B)の広範な非公開企業データを活用する。
今回のサービス拡充により、ICEは上場企業・非上場企業に加え、国債、地方債、住宅ローン担保証券など主要資産クラス全体を網羅した一貫性のある気候リスク分析を提供できるようになる。
これまで、ポートフォリオにおける気候リスク管理において非上場企業のデータは「死角」となっており、機関投資家や資産運用会社にとって大きな課題だった。ICEクライメート部門責任者のラリー・ローレンス氏は「非上場企業にサービスを拡大することで、主要資産クラスを包括的にカバーするオールインワンのソリューションを提供できるようになった」と述べている。
新サービスは、D&Bの非上場企業に関する包括的なグローバルデータと、ICE独自の地理空間インテリジェンスプラットフォームおよび気候リスクモデルを統合している。これにより、洪水・山火事・ハリケーン・猛暑・厳寒などの物理的リスクに関する詳細な指標を提供する。加えて、Scope1、2、3の温室効果ガス排出量データも提供し、投資家は従来不透明だったプライベート市場を含む、ポートフォリオ全体における気候影響や移行リスクを評価できる。
D&Bストリートのブライアン・フィラノフスキ氏は、「D&BのデータがICEのプラットフォームに加わることで、企業はサプライチェーン全体の気候関連の脆弱性を特定・管理できるようになる。より強固なリスク評価が可能になり、情報に基づいた持続可能な意思決定を支援できる」とコメントした。
新たなデータはICEの既存の気候データソリューションに統合され、機関投資家はリアルタイムでのハザード監視や、複数の資産クラスにまたがる洞察を得ることが可能となる。
(原文)ICE Launches Climate Risk Data and Analytics for Private Companies