
7月30日、オーストラリア政府は、再生可能エネルギーの導入を加速する「容量投資制度(CIS)」の目標を、従来の32GWから40GWへと拡大したことを発表した。これは、2030年までに電力の82%を再生可能エネルギーで賄うという国家目標達成に向けた大きな一歩となる。
拡大後の内訳は以下の通り。
- 再生可能エネルギー発電容量:23GWから26GWに引き上げ
- クリーンな調整可能容量(バッテリー等):9GWから14GWに引き上げ
この拡大により、政府は追加の5GWの貯蔵容量と3GWの発電容量の確保に向けて、関連プロジェクトへの投資を促進する。特に太陽光発電のコスト低下と、バッテリー技術の進展が追い風となっている。
拡大されたCISは、2024年から2027年にかけて段階的に実施され、合計で約730億豪ドルの投資を支援する。そのうち、貯蔵容量への投資は約210億豪ドル、太陽光・風力技術への投資は約520億豪ドルに達する見込みである。
これにより、地域社会での雇用創出や、国内製造業・サプライチェーンの支援が期待される。また、老朽化した石炭火力発電所の代替にも貢献し、電力網の信頼性向上を後押しする。
政府は2025年6月、入札プロセスを従来の2段階から単一段階に簡素化する。これにより、事業者はより迅速に入札結果を把握でき、計画立案や資金調達が効率化される。
CISの補完施策として、連邦政府は各州・地域と再生可能エネルギー転換協定(RETAs)を締結中である。これにより、地域ごとの課題に対応しながら、全国的に連携したエネルギー移行を推進する。
CIS入札の運営はAEMO Servicesが担当した。提案されたプロジェクトの実現可能性、信頼性、地域社会への影響を評価し、政府へ推薦する仕組みが取られている。
オーストラリア政府は今後もPowering Australia Planの一環としてCISを推進し、再生可能エネルギー移行の加速と、より手頃で信頼性の高い電力供給の実現を目指す。