
6月11日、米電力大手タレン・エナジーは米アマゾンとの提携を拡大し、原子力発電による電力を長期供給する契約を結んだと発表した。同社のサスケハナ原子力発電所(ペンシルベニア州)から、アマゾンのデータセンターに脱炭素電力を供給する。人工知能(AI)向けなどの膨大な電力需要に対応する狙いで、両社は小型モジュール炉(SMR)の新設も共同で検討する。
生成AIの急速な普及でデータセンターの電力需要が急増しており、安定的かつ脱炭素の電力源を確保する動きが世界的に活発化している。アマゾン ウェブ サービス(AWS)はペンシルベニア州に対し、州史上最大となる200億ドル(約3兆1400億円)規模の投資を発表しており、今回の電力契約はその巨大なインフラを支えるものとなる。
契約に基づき、タレンは最大1920メガワットの電力を2042年まで供給するオプション付きで提供する。タレンにとっては、長期契約により安定した収益源を確保し、連邦政府の税額控除への依存を減らす利点がある。
この提携には地元の政界からも幅広い支持が集まっている。ペンシルベニア州のシャピロ知事は「州のエネルギーリーダーとしての強みを活かすもので、州史上最大の経済開発プロジェクトを後押しする」と歓迎の声明を発表した。
今回の契約は、サスケハナ原発で働く900人以上の雇用を維持し、地域経済にも貢献する。巨大IT企業がAI開発のために原子力を活用する動きは、今後のエネルギー政策や産業のあり方にも大きな影響を与えそうだ。
(原文)Talen Energy Expands Nuclear Energy Relationship with Amazon