INVERTO、企業のサステナビリティ戦略とサプライチェーンレベルでの実践とのギャップを調査
1月24日、ボストンコンサルティンググループ(BCG)の調達・サプライチェーンに特化した子会社であるINVERTOが発表した新しいレポートによると、自社のサプライチェーンのサステナビリティ目標や戦略が、企業のサステナビリティの野心と整合していると考えているのは調達担当者や意思決定者の約半数のみであることが明らかになった。
本レポート『Sustainable Procurement Study 2022』において、INVERTOは、欧州と米国の調達担当者、経営幹部、経営委員会の役職にある90名の専門家を対象に調査を実施した。
本調査により、企業のサステナビリティ戦略と調達・サプライチェーンレベルでの実践との間にギャップがあることが明らかになった。回答者の93%が、自社で企業のサステナビリティ戦略を策定している、または策定中であると回答したのに対し、調達のサステナビリティ戦略を策定している、または策定中であるとの回答は61%にとどまった。
持続可能な調達戦略を導入している回答者のうち、企業のサステナビリティ戦略と十分に連携していると考えているのはわずか半数であった。
INVERTOによると、持続可能な調達戦略の欠如により、多くの企業が今後数年間に施行される予定の新しい法律、例えば2024年に施行されるEUの企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(大企業に対してバリューチェーンにおける人権や環境への悪影響を評価・対処するよう求める規則を含む)に違反する危険性があるという。
本調査では、持続可能な調達は高いレベルで自社のオペレーションモデルに組み込まれているが、従業員やネットワークレベルでサプライチェーンにサステナビリティを組み込むためには、さらなる取り組みが必要であることが明らかになった。回答者の4分の3以上が、持続可能な調達に関して組織のトップレベルから良いサポートを受けており、68%がサステナビリティ専門チームを設置していると報告しているが、従業員に対するサステナビリティのインセンティブがモデルにうまく組み込まれていると感じているのは29%のみ。また、調達チームに対するサステナビリィのトレーニングが「良い」「非常に良い」と評価しているのは約半数であった。
本報告書では、社会的なトピックがサプライチェーンのサステナビリティに最も関連する側面として浮上しており、サプライチェーンの脱炭素化(41%)、循環型経済(34%)、個々の製品の脱炭素化(26%)を抑えて、労働と人権(55%)が調達機能において非常に関連性の高いトピックとして報告されている。同様に、回答者の70%がサプライヤーを選定する際に労働者の権利慣行や人権慣行を考慮すると答えたのに対し、カーボンフットプリントを考慮する回答者は50%、持続可能な原材料の採取については26%にとどまった。
サプライチェーンのサステナビリティパフォーマンスを向上させるために専門家が検討した上位の分野は、社内の製品やプロセスの変更、調達方針とコンプライアンスチェックの実施、サプライヤー選定に持続可能性目標を含めることであった。特定の持続可能性目標を満たさないサプライヤーとの関係を積極的に打ち切ると回答したのは、上位3つの手段として22%にとどまった。
また、持続可能な調達を実施するための最大の障害についても調査しており、「透明性の欠如」が最も多く、回答者の60%が報告し、「実践する能力の不足」「知識と専門知識の不足」がそれに続いた。