12月8日、国際労働機関(ILO)、国連環境計画(UNEP)、国際自然保護連合(IUCN)は、ネイチャー・ベース・ソリューション(NbS)を支援するような政策に投資すれば、特に農村部において大きな雇用機会を創出できるとする新しい報告書を発表した。
モントリオールでの国連生物多様性会議(COP15)で発表された本報告書は、公正で包括的な方法で経済をグリーン化し、有意義な労働機会を創出し、誰一人取り残さないという、公正な移行が必要であることを強調している。
ネイチャー・ベース・ソリューションとは、国連環境総会決議5/5により、「社会、経済、環境の課題に効果的かつ適応的に対処し、同時に人間の福利・生態系サービス・回復力・生物多様性の利益をもたらす、自然または改変された陸上、淡水、沿岸、海洋生態系の保護・保全・回復・持続的利用・管理のための行動」と定義されている。
2030年までにNbSへの投資が3倍になれば、世界中でさらに2,000万人の雇用が創出される可能性がある。これは、国連が発表した「2021年版 自然のための金融の現状報告書」で示されたような、生物多様性、国土回復、気候に関する目標を達成するための重要なステップであるとされている。
しかし、報告書は、NbSの雇用がILOのグリーン・ジョブの基準を満たす保証は今のところないと警告している。本基準では、環境分野であること、国際労働基準や国内労働基準に沿っていること、ディーセントワーク(公正な報酬を受け、自由・公平・安全・人間の尊厳に配慮した生産的な仕事と定義)の基準を満たすことなどが求められている。
本報告書は、NbSで働く企業や協同組合の育成・支援策、適切な技能開発、労働者がNbSでの仕事に就くための準備・支援策、NBSを主要カリキュラムに組み込む大学、最低賃金、労働安全衛生、結社の自由、社会対話の活用など、NbSが中核的労働基準を順守するための政策などの「正しい移行政策」を実施するよう呼びかけている。
COP27 で ILO と UNEP が発表した「Green Jobs for Youth Pact」は、100 万のグリーン・ジョブを創出することを目標としており、本報告書の提言が現場で実現されるよう取り組んでいく予定である。
【参照ページ】
(原文)Nature-based Solutions can generate 20 million new jobs, but ‘just transition’ policies are needed
(日本語参考訳)ILO等、ネイチャー・ベース・ソリューションによる新規雇用の創出に関する報告書を発表