SSBJ第三者保証に向け今から確認しておきたい資料・記録とは

SSBJ基準に基づくサステナビリティ情報の開示の先には、第三者保証の実施が求められている。開示の準備が進みつつある中で、次に意識をしておきたいのが「保証に向けて、どのような資料(根拠・証跡)を残しておけばよいのか」という点ではないだろうか。
保証では、保証業務実施者が保証の結論を形成するために証拠を入手し、その十分性や適切性を評価する。一方、保証基準に企業が「請求書を保存しておけばよい」「Excelを残せばよい」といった形で、準備すべき書類が一律に示されているわけではない。
企業側ではどのような資料・記録を残しておくことが、保証への備えにつながるのか。本稿では、日本公認会計士協会(JICPA)の「サステナビリティ保証業務実務指針5000」などを踏まえながら、開示情報の根拠や作成・判断の過程を追跡できる状態という観点から、企業が確認しておきたい資料・記録を具体例とともに整理する。
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保証で重要とされるのはどのような書類(証拠)か
JICPAは2026年3月「サステナビリティ保証業務実務指針5000『サステナビリティ情報の保証業務に関する実務指針』」を公表した。同実務指針は、国際監査・保証基準審議会(IAASB)の国際サステナビリティ保証基準5000(ISSA 5000)と整合する実務の指針として策定されている。
本指針では、保証業務実施者が結論の基礎となる十分かつ適切な証拠を入手することを求めている。証拠は資料の種類だけで決まるものではなく、確認対象との関連性や情報の信頼性などを踏まえて評価されるとしている(ESG Journalによる解釈)。
一般的に、保証業務においては、「証拠の入手」は、基礎的な部分であり、結論を裏付けるのに必要な手続き。このため企業側も、開示した数値や記述について「何を根拠に作成したのか」をすぐに確認できる状態にしておくことが、保証対応を考えるうえで一つのポイントとなるだろう。
ただし、保証で使用される証拠は、企業側が特定の種類の資料を準備すれば、そのまま「証拠」になるというものではない。どのような情報を保証するのか、どのようなリスクがあるのかなどによって、実施される保証手続きも、そこで入手・評価される証拠も異なる。なお、2026年7月実施の金融庁の企業会計審議会でも、サステナビリティ情報には定量情報だけでなく定性情報や将来情報が多く、証拠の不確実性や見積りへの依存など、財務情報とは異なる特徴があるとの指摘が出ている。
このように「この資料さえ保存しておけば保証を受けられる」という考え方ではなく、企業側では、開示した情報について、どのような資料や記録を根拠として作成したのかを追跡できる状態にしておくという視点で準備しておくことが重要と考えられる。
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続きでは、第三者保証を見据え、企業が今から確認しておきたい資料・記録を具体的に整理します。
・開示数値の根拠として残しておくことを検討したい資料・記録
・リスク・機会や将来情報の判断・審議を説明するための記録
・開示情報の根拠を追跡できる状態にするための実務ポイント
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<執筆者>

竹内愛子
国際関係学に関する修士号を取得。総合コンサルティングファームにて、システムおよび戦略コンサルティングに従事した後、Big4ファームのアドバイザリー部門にて、ガバナンス・リスクマネジメントや統合報告に関する企業向け支援に携わる。
2022年より ESG Journal にて、サステナビリティ経営の観点から、情報開示実務やそれを支えるシステム活用をテーマに、オリジナル解説およびホワイトペーパーの執筆を行っている。

