
11月6日、国際的な気候目標設定機関であるScience Based Targets initiative(SBTi)は、企業の脱炭素行動を支援する主要枠組み「Corporate Net-Zero Standard(企業向けネットゼロ基準)」の改訂版草案(第2稿)を公表し、2回目となるパブリック・コンサルテーションを開始したと発表した。今回の草案は、初回の意見募集と専門家ワーキンググループからの提言を踏まえて作成され、科学的整合性を維持しながら、明確性・実行可能性・柔軟性を高めている。
新たな改訂草案は、企業の脱炭素化を加速するため、科学的根拠に基づく気候行動をより分かりやすく、現場で実行しやすい形に整理する。特にセクターや地域ごとの多様な実態を反映しつつ、企業が短期的行動と長期的ネットゼロ目標を整合させられるよう設計されている。
主要な改訂点は以下の通り。第一に、ネットゼロを「北極星(North Star)」として位置づけ、企業に対して自社のオペレーションおよびバリューチェーンにおける短期行動を長期目標と整合させることを求める。第二に、排出範囲(スコープ)ごとの特性を踏まえた目標設定アプローチを採用し、スコープ1・2・3のそれぞれに対し異なる要件を設定する。第三に、各企業の事業環境に応じた柔軟な選択肢を導入し、排出削減効果の高い領域への優先的投資を促す。
さらに、直接的な排出削減を主軸としつつも、継続的な排出に対して自主的・早期に対応する企業を奨励する「認証メカニズム」が新たに盛り込まれた。また、進捗の測定と開示に関する透明性基準を強化し、企業が実際の削減効果を明確に示すことを求めている。
本コンサルテーションは11月6日から12月8日まで実施され、SBTiは、気候変動対策に関心を持つ企業・専門家・投資家に対し、標準の最終化に向けた意見提出を呼びかけている。SBTiのCEOデイビッド・ケネディ氏は「企業は脱炭素の推進役であり、科学的根拠に基づく行動が競争力維持と新たな成長機会の創出に直結する」と述べた。CTOのアルベルト・カリージョ・ピネダ氏も「今回の草案は、より包括的で実践的な標準づくりへの重要な一歩。世界中の企業が実効的な気候行動を取れるよう、さらなる意見を求めている」とコメントした。
(原文)SBTi releases second draft corporate net-zero standard V2 for consultation
(日本語参考訳)SBTi、企業ネットゼロ基準第2版第2次草案を公表
















