ドイツ銀行、移行金融の新フレームワーク公開、2030年までにトランジション・ファイナンスを実施する新たな目標を発表

11月17日、ドイツ銀行は、サステナビリティ戦略を更新し、2030年末までに累計9,000億ユーロのサステナブル・ファイナンスおよびトランジション・ファイナンスを実施する新たな目標を発表した。2020年以降すでに4,400億ユーロを実行済みであり、残る期間で約4,600億ユーロを積み上げる計画である。

あわせて同行は、初となる「トランジション・ファイナンス・フレームワーク(TFF)」を公開した。TFFは、脱炭素化が難しい産業(hard-to-abate sectors)に対して、どのような条件で移行金融を提供するかを明確化したもので、2026年1月1日から適用される。TFFは以下の3区分で移行金融を定義する。

  1. 活動レベル(Parameter 1):再エネのような“純粋なサステナブル事業”ではないが、温室効果ガス削減に貢献する活動への融資
  2. 企業レベル(Parameter 2):脱炭素に向けた信頼性ある戦略を持つ企業への一般企業目的融資
  3. サステナビリティ・リンク型(Parameter 3):気候指標などの達成度に応じ条件が変動する金融商品

なお、新たな9,000億ユーロ目標に算入されるのはParameter 1とParameter 3のみで、Parameter 2の取引は算入対象外とし、将来的に別枠で開示する方針だ。TFF自体はISS-Corporateのセカンドオピニオンを取得しており、国際的な基準との整合性が確認されたとしている。

さらに同行は、気候に加えて自然資本への取り組みも強化する。2030年とは別に、2027年末までに生物多様性保全や生態系の回復に資する取引を300件実施するという「Nature Transaction Ambition」を設定した。これには、水資源管理(SDG6)、海洋保全(SDG14)、陸域生態系保全(SDG15)などへの融資が含まれ、今後成長が見込まれる“biodiversity credits(生物多様性クレジット)”など新たな金融手法も対象となる。

(原文)Deutsche Bank sets new 2030 sustainable and transition finance target, and publishes its initial Transition Finance Framework

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