
4月22日、環境意識の高まりとともに、エネルギー転換が勢いを増している。MSCIは、世界的な金融市場におけるデータと分析を提供するリーディングカンパニーとして、「トランジションファイナンストラッカー」を通じて、企業の気候変動対策に向けた最新動向の解説を発表した。このトラッカーは、企業がどのように持続可能な投資を通じて気候リスクに対応しようとしているかを明らかにする重要な指標だ。
この報告書は、温室効果ガス排出量、企業目標、情報開示、金融フロー、エネルギー転換、物理的リスクと自然環境の6つのテーマに沿って、詳細なデータを提供している。たとえば、中国が化石燃料消費で先頭を走る一方、クリーンテクノロジー革新でも世界をリードしていることが、MSCIの分析から明らかになっている。
特に注目すべきは、上場企業のわずか12%のみが、気温上昇を産業革命前から1.5度以内に抑える目標に適合している点だ。他の多くの企業は2度以上の温暖化を予測しており、この問題への対策が急務となっている。なお、25年3月31日時点で、上場企業の14%がSBTi(Science Based Targets initiative)によって検証された気候目標を持っており、前年の9.3%から増加している。
気候移行ファンドも、排出集約型業界への投資を通じて脱炭素化を推進する役割を果たしているが、アメリカでの関税によるクリーンエネルギー技術のコスト上昇問題など、政策の不確実性が懸念されている。
先進国では企業の収益が増える一方、排出量が減少する「収益と排出のデカップリング」が進展していることが確認された。また、排出量トップ3の国である中国、アメリカ、インドにおいて、アメリカの電力網が最も低炭素であるという結果が示された。
このように、MSCIの分析は地球規模のエネルギー転換における課題と可能性を浮き彫りにしている。これらのデータは、気候対応および持続可能な戦略形成に向けた貴重な洞察を提供している。
(原文)Charting transition finance: Our Transition Finance Tracker
(日本語参考訳)トランジション・ファイナンスのチャート トランジション・ファイナンス・トラッカー