
6月、インドのIT大手インフォシスは、2020年に発行された「ESGビジョン2030」の刷新を発表し、同社の環境・社会・ガバナンスに関する取り組みを一層強化する方針を明らかにした。今回のビジョンでは、気候変動対策から包摂的な人材育成、倫理的なテクノロジーの実践に至るまで、より具体的な目標と戦略が示されており、同社の持続可能性への取り組みが次の段階へ進んだことを示している。
環境面では、同社がすでに達成済みのカーボンニュートラルステータスを基盤としつつ、Scope 1、2の温室効果ガス排出量の絶対削減を維持しながら、バリューチェーン全体におけるScope 3排出量の削減にも本格的に取り組む方針を示した。また、再生可能エネルギーの導入と水資源の効率的利用、循環型経済の推進を加速させることで、環境負荷の最小化を図る。
社会面においては、女性やマイノリティを含む多様な人材の活躍を促進するダイバーシティ&インクルージョン戦略を再定義した。とりわけ、女性管理職比率の向上、従業員の継続的な学習支援、そしてデジタル格差の解消を目的とした社会貢献活動の拡充が注目される。また、Infosys Foundationを通じて地域社会への支援や教育機会の提供にも力を入れていく。
ガバナンス面では、AIやデジタル技術を活用した倫理的なガバナンスの確立に重点が置かれている。具体的には、AIの公平性・説明可能性・プライバシー尊重を確保する枠組みの構築や、サイバーセキュリティ・データ保護に関する社内体制の強化が盛り込まれている。これにより、インフォシスはテクノロジーを通じた社会的責任の遂行と顧客の信頼確保を両立させることを目指す。