【開催レポート】サステナビリティ視点で読み解くAIガバナンス最前線

2026年5月18日(月)、シェルパ・アンド・カンパニー株式会社の五反田オフィス(東京都品川区)にて、一般社団法人サステナブルコミュニティと一般社団法人AIガバナンス協会の共催イベント「サステナビリティ視点で読み解くAIガバナンス最前線」を開催しました。サステナビリティ担当者からAI・データ部門の担当者まで、異なる専門領域を持つ約30名が参加し、座談会とネットワーキングによる活発な議論が交わされました。
開催の背景:AIとサステナビリティ経営の関係とは
AIガバナンスは近年、単なるリスク管理やコンプライアンスの問題にとどまらず、企業価値向上やサステナビリティ経営の観点からも重要性を増しています。一方で、AIの環境負荷やアルゴリズムによる偏見・差別といった課題が顕在化するなか、これをサステナビリティの文脈でどう捉え、モニタリングしていくかという視点はまだ十分に確立されていません。
その一方で、AIを活用してサステナビリティの取組みを加速させる可能性も大きく広がっています。こうした視点は、企業価値向上につながる「攻めのAIガバナンス」とも深く重なります。
本イベントは、こうした背景のもと、サステナビリティ担当者とAIガバナンス担当者がそれぞれの立場から議論を交わすことで、両分野を横断する実務上の示唆を引き出すことを目的として企画されました。
座談会:AIガバナンスとサステナビリティの交差点ーAIガバナンスの責任の所在とは
座談会には、鈴木秀一氏(サイボウズ株式会社 執行役員 情報システム本部長)、山路祐一氏(現役サステナビリティ部門責任者/サステナブルコミュニティ代表理事)、片山雄太氏(株式会社Re-grit Partners ディレクター AIガバナンス協会 事務局・専門アドバイザー)の3名が登壇し、モデレーターとして中久保菜穂氏(シェルパ・アンド・カンパニー株式会社・AIガバナンス協会 事務局・専門アドバイザー)が議論に加わりました。
議論はまず、両分野が交差するようになった背景の整理から始まりました。投資家によるデューデリジェンスへのAIリスク視点の組み込みや、AIガバナンスに関連する株主提案の増加など、AIリスクへの関心は専門家の枠を超えて広がっています。「AIガバナンスとサステナビリティは、どちらも企業の信頼性を高めるという点で目的が共通している」という認識が、議論の土台として確認されました。
次に、企業内での実践という観点から、AI技術の変化のスピードに対応するためガイドラインを継続的に更新するアプローチや、トップダウンの方針策定とボトムアップの活用推進を組み合わせることの必要性が議論されました。また、採用AIによる偏見や特定データの除外による差別といったソーシャルリスク(ESGの「S」)はITエンジニアが見落としやすい領域であり、サステナビリティ専門家との連携が重要との指摘もありました。
組織体制については、AIガバナンスの責任部署に「唯一の正解はなく」、法務・IT・人事など複数部門が関与するクロスファンクショナルな対応が現実的だという見解が示されました。最後に、社内のAIガバナンス担当者とサステナビリティ担当者がつながって話してみることが具体的なネクスト・アクションとして提案されました。
ネットワーキング:AIガバナンスとサステナビリティ実務をつなぐ
座談会・Q&Aセッションに続いて行われたネットワーキングでは、立食形式で参加者同士の交流が行われました。サステナビリティ担当者とAIガバナンス担当者が同じ場で議論できる機会は貴重であり、業界や専門領域を横断したつながりが生まれる場となりました。日々の業務における課題の共有や、今後の協力関係を模索する会話が随所で交わされ、盛況のうちに幕を閉じました。
おわりに
今回の議論を通じて、AIガバナンスとサステナビリティは、いずれも企業の信頼性や中長期的な企業価値に関わるテーマであり、相互に接続して考える必要があることが改めて確認されました。AIガバナンス担当者には社会・環境といったサステナビリティの視点が求められ、サステナビリティ担当者にもAI活用が持つインパクトとリスクを理解し、社内のガバナンス体制に関与していく視点が求められます。
共催:一般社団法人サステナブルコミュニティ/一般社団法人AIガバナンス協会
運営協力:シェルパ・アンド・カンパニー株式会社
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