
11月5日、欧州連合(EU)の27加盟国は、2040年までに温室効果ガス(GHG)排出を1990年比で90%削減するという新たな気候目標について合意に達した。欧州委員会はこの動きを歓迎し、EU全体としての一致した気候行動の姿勢をCOP30(ブラジル・ベレン開催予定)に向けて発信する。
この合意は、EUが掲げる2050年までの気候中立実現に向けた重要な中間ステップとなるもので、欧州気候法の下で初めて法的拘束力を持つ2040年目標が設定される見通しだ。新たな枠組みでは、削減幅のうち85%を域内での努力により達成し、最大5%を国際的な炭素クレジットの活用によって補うことが認められている。
今回の合意によって、EUは2030年目標である「1990年比55%削減」を超える形で次のステージに進むこととなる。欧州委員会はこの進展について、「欧州が引き続き世界の気候リーダーとして先導している証だ」と評価。委員会は今後、欧州議会と協議を重ね、法的枠組みを早期に整備する方針だ。
欧州委員会は、今回示された2040年目標が「経済、エネルギー安全保障、地政学的状況を踏まえた現実的かつ柔軟なアプローチ」に基づいており、クリーン産業への移行と競争力の維持を両立させるものだと説明している。特に「クリーン・インダストリアル・ディール」実施を通じ、企業の投資環境を安定化させることが期待される。
この合意を受け、EUは新たなNDC(国別削減目標)を国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に提出予定。これにより、2035年までに1990年比で66~72.5%の削減を目指し、最終的な90%削減へと段階的に進む計画だ。
(原文)Commission welcomes strengthened EU climate ambition ahead of COP30
(日本語参考訳)欧州委員会、COP30を前にEUの気候変動対策への意欲強化を歓迎
















