
4月21日、消費者庁は、食品添加物「食用赤色3号(エリスロシン)」の含有量について、自主点検の実施を食品事業者に要請した。これは、米国食品医薬品局(FDA)が同物質の食品および医薬品への使用を取り消す決定を発表したことを受けたもので、国内でも安全性に対する再評価が進められている。
日本では、食用赤色3号は食品衛生法に基づき、限られた食品に対して着色目的での使用が認められている。しかし、米国での規制強化を背景に、令和7年2月に開催された食品衛生基準審議会では、現時点で使用禁止や基準改正の必要性はないと判断された。一方で、厚生労働省が行った医薬品分野での調査では、一部製品で許容一日摂取量(ADI)を超える可能性が確認されたことから、製薬会社には使用量の自主点検と必要に応じた対応が求められている。
これを受けて、消費者庁は食品分野においても、自主的な含有量の点検を行うよう通達を出した。対象となるのは、錠剤、カプセル、粉末、ドリンク剤、およびこれに類似する清涼飲料水等で、一日あたりの摂取目安量が明示されている製品。事業者は、製品に含まれる食用赤色3号の量と摂取量をもとに最大一日摂取量を算出し、欧州食品安全機関(EFSA)およびFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が定めるADI(0.1mg/kg体重/日、平均体重は55.1kgと想定)を超える場合は、5月16日までに消費者庁へ報告する必要がある。
さらに、報告後1か月以内に、必要に応じて使用量の変更等の対応を検討し、対応方針を再度報告することも求められている。消費者庁は、事業者が原材料供給業者とも連携の上、迅速かつ的確に自主点検を実施するよう指導を強めており、今後の動向が注目される。