6月27日、IBMが発表した新しいグローバルCEO調査によると、経営幹部のインセンティブ報酬をESG要因の業績に連動させる慣行がこの1年で急増していることが明らかになった。CEOの約半数が報酬をサステナビリティ目標に連動させていると回答しており、1年前のわずか15%から増加している。
IBM Institute for Business Value (IBV)は、オックスフォード・エコノミクスの協力のもと、「AI時代のCEOの意思決定」というテーマで、30カ国以上、24業種のCEO3,000人を対象に、リーダーシップとビジネスに対する考え方、経営幹部の役割と責任の変化、主な課題と機会、テクノロジー、データ、指標の活用などの分野に焦点を当ててインタビューを行った。
本調査では、ESG要素の役員報酬への統合が急速に進んでいることに加え、「環境のサステナビリティ」がCEOの今後3年間の最優先課題として最も頻繁に挙げられ(42%)、昨年の調査からトップの座を維持していることがわかった。次いで、サイバーセキュリティとデータプライバシーが32%、技術近代化が27%となっている。
しかし、組織の最優先事項のリストでは環境のサステナビリティが低下しており、前年の3位から5位に順位を下げている。一方で、「生産性や収益性」が(昨年の6位から)急浮上し、サイバーセキュリティとデータプライバシーも上位にランクインした。
サステナビリティに関する優先順位が下がったのは、関連するイニシアティブの進捗が依然として遅れているためで、報告書は最近のIBVの別の調査「ESGデータの難問」を引用している。この調査によると、現在95%の企業が業務上のESG目標を設定しているものの、達成に向けて大きく前進しているのはわずか10%で、最大の障害としてデータの不足が挙げられている。
先の調査では、経営幹部の4分の3近くが、ESGを組織にとってより優先度の高いものにする必要があることに同意しているが、サステナビリティへの取り組みに対する課題として、データ不足(課題として最も多く挙げられたのは41%)、次いで規制上の障壁(39%)を挙げている。この調査では、ESG戦略や取り組みについて報告する組織の能力に自信があると回答したCEOは半数以下(45%)で、この自信のなさは消費者にも反映されている。企業のサステナビリティに関する声明に対する消費者の信頼は過去数年間で激減し、2021年の48%からわずか20%にとどまった。
さらに、新レポートによると、戦略的な意思決定を行うためにESGデータを頻繁に利用するCEOは34%に過ぎず、これに対して業務データと財務データを利用するCEOはそれぞれ76%と75%であった。
報告書で明らかになったサステナビリティイニシアティブの進展に向けた関連する課題は、一貫性のある基準の欠如である。CEOの56%が、特にサステナビリティやデータ&プライバシーなどの新興分野において、一貫性のある基準が欠如しているため、現在少なくとも1つの主要な投資を遅らせていると報告している。