ESG上の懸念で投資見送り、投資家の60%が経験 非上場市場のESG情報に課題

10月7日、Morningstar Sustainalyticsは、責任投資原則(PRI)との共同執筆による分析記事「Sustainability Value Creation in Private Markets」を公表した。PRI、ピッチブック(PitchBook)、Morningstar、Morningstar Sustainalyticsによる4つの投資家調査を比較し、非上場市場におけるESG情報の活用状況と課題を整理した。
分析によると、ESG情報は投資前の意思決定に活用されている。ピッチブックの調査では、ESGを投資活動に取り入れている回答者の60%が、過去5年間にESG上の懸念を理由として投資を見送った、または投資を推奨しなかった経験があると回答した。Morningstar Sustainalyticsの調査でも、ESG情報を投資案件の選別や発掘に活用する割合は55%、デュー・ディリジェンスや投資委員会の意思決定に活用する割合は56%だった。
一方、投資判断に必要なESG情報の収集や比較には課題が残る。Morningstar Sustainalyticsの調査では、46%がESGデータの収集、43%が企業間での報告内容の不統一を課題に挙げた。また、ピッチブックの調査では、32%がESG情報は主観的で測定が難しいという認識を課題に挙げている。
データ収集や比較に関する課題には改善もみられる。ピッチブックの調査では、投資先企業からのESGデータ収集が難しいとする割合は2025年の30%から2026年には21%に低下した。ESGパフォーマンスの比較評価が難しいとする割合も25%から20%に低下した。
分析では、ESG情報が投資判断に利用される一方、データの収集や報告内容の一貫性、企業間の比較可能性が引き続き課題となっていると指摘した。
参考:Sustainability Value Creation in Private Markets
投資家が求めるESG情報と、企業の開示対応
ESG情報が投資判断に活用される中、企業にとっては、開示するデータの収集体制や算定方法、報告内容の一貫性を確保することが重要となる。
また、気候関連情報では、CDPへの回答とSSBJ基準との間にある共通する開示項目を把握し、既存データを効率的に活用する視点が重要になるだろう。
<実務ポイント>
CDPとSSBJ「気候関連開示基準」の対応関係を整理した一覧資料を公開中!
IFRS S2・SSBJ・
ESRS・CDP 対照表

