Google、製造業向けの無償エネルギー評価ツールを提供開始

11月、Googleは製造施設向けに無償で利用できるセルフサービス型のエネルギー評価ツールを公開したと発表した。製造業における省エネ改善は、運用コストと温室効果ガス排出の双方を大きく削減できる潜在力を持つ。しかし実際には、外部コンサルタントの費用負担、設備投資の確保の難しさ、そして社内の専門知識不足といった障壁のため、着手しやすい改善策でさえ十分に実行されてこなかった。

このEnergy Assessmentツールは、エネルギー管理の専門知識がなくても各施設の省エネ改善機会を特定できるよう設計されている。ユーザーは施設の基本データを入力するだけで、空気圧縮機、ボイラー、チラー、照明など主要システムにわたる20以上の改善機会を分析し、機器更新や運用改善、太陽光導入など、コストと排出削減効果の高い省エネプロジェクトの推奨を受けられる。また、複数拠点の比較分析によって投資判断を最適化できるため、企業全体の効率改善を体系的に進めることが可能となる。

ツールはチームでの共同作業を前提に構築されており、施設担当者間の共有や、上流サプライヤーを招待して評価を進めることもできる。これにより、省エネ改善のメリットを自社内にとどめず、バリューチェーン全体に拡大できる点が特徴となっている。分析手法は一般的なASHRAE Level 1相当のエネルギー監査内容を基礎としており、エンジニアリング企業が蓄積してきた現場知見がデジタルツールとして提供されている。

サービスは英語に加え、中国語(簡体字・繁体字)、タイ語、ベトナム語にも対応し、データ保護には第三者による管理とGoogleの厳格なプライバシー基準が適用されている。サプライヤーは共有範囲を自ら設定でき、総削減ポテンシャルなどの集約データのみを共有することも可能だ。Googleは、本ツールが複雑でコストのかかる省エネ評価を、より手軽で協働的かつ高インパクトなプロセスへと変革することを目指している。

(原文)Announcing the free Energy Assessment tool: Unlocking cost and emissions reductions for manufacturers
(日本語参考訳)無料のエネルギー評価ツールを発表:製造業者のコストと排出量の削減を実現

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