欧州理事会、EU排出量取引制度の見直しを要請 炭素価格の安定と産業競争力の両立を重視

10月16日、欧州理事会(European Council)は、EU排出量取引制度(ETS)の見直しにあたり、炭素市場の予見可能性を確保し、産業競争力を支えるよう求める結論を公表した。10月15、16日にブリュッセルで開催した会合で採択した結論文書に盛り込んだ。
欧州理事会は、ETSについて、炭素リーケージを防止し、炭素価格の変動を抑えるとともに、電力価格への影響を緩和する必要性を強調した。一方、気候・エネルギー転換におけるETSの重要な役割を維持し、投資とイノベーションを促す市場ベースの炭素価格シグナルを確保することも重視した。
また、欧州理事会は、欧州委員会に対し、ETS2の設計とセーフガードを含め、同制度の影響評価を更新するよう求めた。ETS2は、既存のETSとは別に導入される排出量取引制度である。
市場安定化リザーブ(MSR)については、過度な価格変動を抑えるため、欧州議会とEU理事会に対し、関連する立法手続きを加速するよう要請した。
エネルギー政策では、変動の大きい化石燃料市場への依存を減らし、戦略的自律性を高め、エネルギー価格を引き下げるため、エネルギー転換が重要だと強調した。具体的には、電化の加速、再生可能エネルギーおよび低炭素エネルギーの導入、送電網とエネルギー貯蔵の整備、エネルギー効率の向上を求めた。
さらに、欧州理事会は、エネルギー価格の高騰に対応する短期的な追加措置について、加盟国ごとの事情や電力価格の違いを考慮しながら、欧州委員会が検討し、必要に応じて提案するよう要請した。産業競争力と脱炭素化をめぐる政策課題について、ETSの役割を維持しつつ、炭素市場とエネルギー価格の安定性を確保する方針を示した。
参考:European Council conclusions, 15 and 16 October 2026
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