サステナブルファイナンス市場における国際的なイニシアティブと関連組織

こんにちは!ESG Journal Japan編集部です!

ESG Journal Japanではこれまで数多くの記事を出してきましたが、記事内にイニシアティブや組織の略称が非常に多かったので、今回のコラムで組織名や取り組み内容を改めて整理しました。

サステナブル・ファイナンス市場における主なイニシアティブ

サステナブルファイナンス市場では、様々な組織から構成される国際的なイニシアティブが、企業の脱炭素化を最終目的として、投資家(金融機関を含む)による脱炭素に関する取り組みを支援しています。

サステナブル・ファイナンス市場における主なイニシアティブと組織図

画像1

出所:サステナブルファイナンス有識者会議「事務局資料」 P.26

国際的なイニシアティブ例と重点活動

それぞれのイニシアティブによって重点を置いている活動が異なってきます。

画像2

出所:サステナブルファイナンス有識者会議「事務局資料」 P.27

イニシアティブ名(母体組織)・目的・具体活動

Collective Commitment to Climate Action(国連責任銀行原則)

融資ポートフォリオの脱酸素化を目指す。目標の設定、企業への働きかけや情報開示が求められます。参加機関:38機関(日本:0機関)

Net Zero Asset Owner Alliance(UNEPFI・PRI)

ポートフォリオの脱炭素を目指す。目標・戦略の策定、企業や業界等への積極的な働きかけや情報開示が求められる。参加機関:35(日本:1。第一生命が参画)

Net Zero Asset Managers Initiative(CDP・PRI・GHG)

ポートフォリオの脱炭素を目指す。目標設定や積極的なエンゲージメントなどが求められる。参加機関:73(日本:2。三井住友トラストAM等が参画)

【参考記事】ネット・ゼロ・アセット・マネージャー・イニシアチブ、運用総額が43兆ドルを超える。三井住友トラストも加入

PCAF:Partnership for Carbon Accounting Financials

様々なアセットクラスに適応できるグローバルなGHG会計基準の策定を行う、投資家主導のイニシアティブ。参加機関:115(日本:1。みずほFGが直近参画)

【参考記事】みずほ、日本の金融機関で初めてPCAFに参加。投融資の気候変動影響を開示することを約束

PACTA:Paris Agreement Capital Transition Assessment(2℃ Investing Initiative・PRI)

投資・融資ポートフォリオに対して、パリ協定の目標との整合性をシナリオ分析を用いて計測するツールを無償で公開。参加機関:3,000以上

Paris Aligned Investment Initiative(GIG)

パリ協定に整合したポートフォリオ構築を支援。参加機関:112(日本:0)

SBTs for Financial Institutions

1.5℃未満又は2℃より低く抑えるための「科学的根拠に基づく目標」(SBT)策定や認定に関する金融機関向けの枠組。参加機関:77(日本:4)

Climate Action 100+(GIG・PRI)

世界100社以上の多排出企業に対する協働エンゲージメント。参加機関:575(日本:14)


イニシアティブの母体となる関連組織

UNEP-FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)

UNEPと世界各地の金融機関とのパートナーシップ。署名機関には、業務に直結する専門的な調査、環境に配慮したビジネスモデルの提案、情報交換などを提供。参加機関:350以上(日本:16)

【参考記事】UNEP FIら、金融機関向け生物多様性ガイダンスを公表

PRI(Principles of Responsible Investment)

署名機関はESG要因をその投資意思決定のプロセスにて考慮すること、年次報告が求められる。参加機関:4,000超(日本:94)

【参考記事】PRIが4,000人の署名者を達成、セクターや地域を超えてESG投資への関心が高まる

GIG(Global Investor Coalition on Climate Change)

気候変動に焦点を当てた4地域の投資家グループから成る、気候変動に関するグローバル投資家連合。AIGCC、IIGCC、Ceres、IGCCから成る。Climate Action100+等で協働。参加機関:500超(日本:-)

AIGCC (Asian Investor Group on Climate Change)

アジアの機関投資家の気候変動及び低炭素投資のリスクと機会に対する
理解を深め、積極的な投資行動を促進することを目的とする。定期的な情報交換の他、投資家向けの気候変動学習プログラムをオンラインで提供するなど、能力向上にも積極的に取り組む。参加機関:50(日本:5)

IGCC (Investor Group on Climate Change)

気候変動に焦点を当てたオーストラリア、ニュージーランドの投資家団体。参加機関:82(日本:-)

IIGCC (Institutional Investor Group on Climate Change)

気候変動に焦点を当てた欧州の投資家団体。参加機関:82(日本:-)。直近「Investor Position Statement」を発表

【参考記事】気候変動に関する機関投資家グループ、「Investor Position Statement」を発表し、企業の気候戦略に関するvotingを要求

Ceres

より持続可能な経済への変革を促す米の非営利団体。企業、投資家それ
ぞれが作業部会を持ち、投資家のワーキンググループも多数。欧州から
の参加も多い。直近食品業界向けに投資家イニシアティブを開始。参加機関:188(日本:1)。

【参考記事】Ceres、食品業界最大の排出者を対象とした投資家イニシアティブを開始


ESG推進における国際イニシアティブへの参加メリット・ハードル

国際的なイニシアティブへの参加には、英語によるコミュニケーションや人的・予算的なリソース不足といったハードルがある一方で、ネット・ゼロに向けた目標設定や最新のメソドロジーの取得といったメリットがあると言われています。

画像3

出所:サステナブルファイナンス有識者会議「事務局資料」 P.29

ESGオリジナルコラムアーカイブ

サステナブル(ESG)投資とインパクト投資の違いとは?サステナブルファイナンスの全体像を把握しよう!


最後に

サステナブルファイナンスにおける各種イニシアティブや関連組織について簡単に解説しましたが、いかがでしたでしょうか。ESG Jouranal Japanの記事に出てくる組織・イニシアティブ名で不明なものが出てきた場合は、こちらのコラムで是非確認してみてください!

今回は用語説明が中心となりましたが、その他にもESG・サステナビリティに関する様々な記事・コラムを書いていますので、以下リンクより是非ご覧ください!


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次回も上場企業のESG開示やESGの最新トレンドについて、詳しく紹介していきたいと思います。

よろしくお願いします!

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